秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。
「そ、そうね、後は二人だけで、私達はそろそろおいとましましょうか」
「そうだな。
すみませんうちの娘が我が儘を‥‥。九条さん光一さん、よろしいですか?」
「もちろんです」
なんだか四人とも嬉しそうな顔になって部屋を後にした。
九条さんが、良かったね、というような笑顔を最上さんに向けていて、他人事のはずなのに胸が痛んだ。
◇
四人が部屋から出た事を確認すると、
戸惑ったような顔をする最上さんと初めてきちんと目を合わせた。
「縁談の話なら、断って頂いて構いません」
「‥‥‥‥。」
自分でも突拍子だと思う言葉に、最上さんが少し戸惑うように目を細める。
「あなた程の人なら、
私との結婚‥‥私達の会社とわざわざ手を結ぶ必要もないはずです。自分のお好きな人と結婚されたらどうですか」
「‥どういう意味ですか」
最上さんが怪訝そうに眉をひそめる。
どうして私の声はこんなに冷たいんだろう。
もっと柔らかく物を言えないのだろう。
元はと言えば、私の両親が持ち掛けた見合い話だ。
それなのに。