秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。

「そ、そうね、後は二人だけで、私達はそろそろおいとましましょうか」

「そうだな。
すみませんうちの娘が我が儘を‥‥。九条さん光一さん、よろしいですか?」


「もちろんです」


なんだか四人とも嬉しそうな顔になって部屋を後にした。

九条さんが、良かったね、というような笑顔を最上さんに向けていて、他人事のはずなのに胸が痛んだ。







四人が部屋から出た事を確認すると、
戸惑ったような顔をする最上さんと初めてきちんと目を合わせた。


「縁談の話なら、断って頂いて構いません」

「‥‥‥‥。」

自分でも突拍子だと思う言葉に、最上さんが少し戸惑うように目を細める。

「あなた程の人なら、
私との結婚‥‥私達の会社とわざわざ手を結ぶ必要もないはずです。自分のお好きな人と結婚されたらどうですか」


「‥どういう意味ですか」

最上さんが怪訝そうに眉をひそめる。



どうして私の声はこんなに冷たいんだろう。

もっと柔らかく物を言えないのだろう。

元はと言えば、私の両親が持ち掛けた見合い話だ。
それなのに。
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