秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。
私達の事は気にせずに、大切な人がいらっしゃるなら縁談は断って貰って構いません、ってそう言えたらいいのに。
縁談は親が決めた事。
結婚だって、いずれは親が決めた誰かとするものだと昔からわかってた。
だけど、
こんな形で縁談が進むのは私が嫌だ。
自分達から言い出しておいて断って、だなんて、なんて非常識な人と思われているんだろう。
そう思うのに、思うように話せない。
「秘書さんの事、大切なんですよね?」
「‥‥‥‥!」
最上さんの目の奥が、
かすかに揺れた気がした。
‥‥ストレートに言いすぎた。
少しだけ見張った目をすぐに反らされる。
人の感情には、自分は結構疎い方だと思っていた。
でもこの人は――だいぶ分かりやすい。
「間違ってます?」
冷淡な声でそう尋ねる。
すると、一拍置いて返された。