Better*honey―苦くて甘い秘密の恋―
LINE
「本当に、まさか音がそんなに
できる女だとは思ってなかったわ~」
「ほんっとにね?
あの場であれを渡すなんて私、
まじで頭良い!
って自分褒め称えたいくらいだったもん」
沙織と、二人してゲラゲラと笑う。
ショッピングセンターで高瀬さんに会ったあの日、
私が渡したあの小さな紙には…
私のメアドと電話番号が書かれていたのだ。
あれは別に、
高瀬さんに渡そうとしてた訳じゃなく、
私、自分の番号さえ覚えられないから
いつでも分かるように
携帯カバーにその紙を入れておいただけなんだよね。
でもそのお陰で、
今では…
ー【LINE】ーー
(音)「LINE追加、ありがとうございます♪」
(高瀬)「いえいえ♪」
ーーーーーーーーー
LINEを開いてはニヤニヤする。
これが私の今の日常。
幸せだ…。
そう、あの日の夜。
なんと、
高瀬さんからLINE追加してもらっちゃったの。
その時、もう寝る寸前だったんだけど、
飛び起きて、もうピョンピョン跳び跳ねたくらい、
凄く嬉しかったんだよね~!
あれは忘れられない。
あんなに誰かにLINE追加されて嬉しかった
思い出なんてないもの。
あれから、
高瀬さんには色々質問攻めさせてもらって、
たくさんの事を知れた。
だって、私、
高瀬さんのこと全然知らなかったんだもん。
好きなものは、なんなのか。
とか、やっぱり好きな人の好きなものとかは
把握しておきたいじゃん?
名前は、高瀬雅。
身長は162センチ。
体重は、55キロ。
29歳。
血液型は、B型。
好きな食べ物は、ラーメン。(私と一緒♪)
好きな色は、黒と白。(私と一緒♪)
誕生日は、3月◯◯。
など、他にも色々聞きまくったけど、
まぁ、紹介するのはこのくらいで(笑)
好きな物は何かしら被るし、
何かやっぱり、運命ってあるのかなぁ。と思う。
誕生日は…
なぜか、ハッキリとは教えてくれなかったけど、
沙織いわく、
『大人な男性は、誕生日は簡単には教えないもの』
らしいので、まぁよしとしよう。
けど、話していくにつれ、
分かったことはたっくさんある。
元バンドマンでボーカル。
髪の毛はロン毛で金髪だったらしく、
今とはまるで別人だったということ。
高校時代は、
柔道部に所属していて、県大会などでも優勝する
くらい強かったということ。
そして、何より…
話しやすい。ということ。
高瀬さんと話してる時間は、
本当に幸せで、ほわほわした気分になる。
恋をしたら、人は変わるっていうけど、本当だね。
私、なんだか少し変わった気がするよ。
高瀬さんに可愛いと思われたくて、
メイクを学んでみたり、
ファッションセンス磨いてみたり、
痩せる努力したり…。
「あ、ねぇ。いつ告白するつもり?」
いつも通り、
高校の学食でパンにかぶりつきながら、
私に話しかける沙織。
「んんんんー。えぇ、しなきゃダメ?」
「当たり前でしょ!
言わなきゃ何も始まらないよ?」
「んん。ですよねぇ。」
「あんた、優柔不断だから、私が決めたげる」
「は、はい?」
「今週、LINEでも何でも良いから想い、
ぶつけること!いいね!?」
「え~!!」
沙織はそれだけ言うと、
また購買に出掛けていってしまった。
私は、携帯画面にうつる
高瀬さんとのトークだけをジーっと
ただただ見つめていた。