Better*honey―苦くて甘い秘密の恋―
仕事
季節は春。
社会人になる人、
進学する人、
ドキドキしたり
不安を抱えている人達がいる中で、
平和ボケしている私。
名前は佐藤 音(さとう おと)。
低身長に、
ポチャッとした体型がなんとも言えない
ごく普通の高校2年生。
「ねー音。バイトやらない?
超いい所あってさぁ」
いつも通りの昼休み。
常に一緒に行動している
私の親友の清水沙織(しみず さおり)が、
明るいクルクルな巻き髪をいじりながら言った。
私より遥かに背が高く、
華奢でスタイル抜群で、綺麗系女子な沙織は
私の憧れ。
小学生の頃から仲良しで、
ずっと沙織に面倒見てもらってるの。
そんな沙織はもちろん、男女問わずモテモテ。
「何で急にバイト?」
「金稼ぎよ~ん」
金稼ぎ…。
そのワードにピンッとくる。
確かに、自分のお金は欲しい気がする。
自分のお金で、たくさん好きな物買ったり、
友達とめいっぱい遊んだりしたい。
どうせ家にいても何もないんだし。
だったら暇潰しにでもバイトするのもありじゃない?
「ねっ、取り敢えずさぁ面接受けてみよーよ」
「いいよー」
どんな仕事なのかも知らないけど、
沙織となら行ける気がした。
「よしっ!明日面接だって!」
「えっ!?」
携帯を差し出してくる沙織に
ポカーンとあいた口が塞がらない。
どうやら、沙織は携帯で申し込んだらしい。
そういうのに疎い私は全然知らなかった訳で…
やっぱり、どんな時でもどんな事でも私は
沙織がいなきゃできない子なんだなぁ、と
改めて実感させられる。
「よし、気合い入れていくぞー★」
なんて言って、
今からかなりの気合いを入れている沙織。
沙織は勉強もできて、運動神経も抜群で、
いわゆる文武両道な人だ。
だからきっと、バイト先でも上手くやっていける。
けど…その点私は、
勉強もろくにできないし、
運動音痴だし…何してもダメ人間。
そんな私に、
バイトなんてできるんだろうか…。
少しの期待と、不安を抱えながら
明日の面接に向けて履歴書と写真を用意した。