アナザーワールド
首に食いつかれている妹は、俺の方を見て涙を流して死んでいた。
ゴボゴボと音を鳴らし、口の端から血を流していた。
頭の中が真っ白になった。
何も考えられなかった。
だけど体が勝手に、奥の部屋へと駆け込んだ。
元々、俺の部屋だった場所。
この世界になってからは、心細さを消すように家族三人身を寄せ合ってリビングで過ごすようになっていたからすっかり使っていなかったその場所に、もう三日間いる。
あの朝からずっと、ここにいる。
何度も窓の外を見ては、世界が元に戻ったんじゃないかと現実逃避している。
だけどそれも、そろそろ終わりだ。
いつまでも、ここにはいられない。
食べ物はないし、僅かにあった水ももうない。
ここを出なければ――。
ベッドの脇に置いてある、金属バットを手に取った。
あの朝見た光景はただの夢で、ドアを開ければ母と妹が生きているのではないかという希望は持っていない。
何故ならこの三日間、ずっとドアを引っ掻く音が聞こえているから。
ゴボゴボと音を鳴らし、口の端から血を流していた。
頭の中が真っ白になった。
何も考えられなかった。
だけど体が勝手に、奥の部屋へと駆け込んだ。
元々、俺の部屋だった場所。
この世界になってからは、心細さを消すように家族三人身を寄せ合ってリビングで過ごすようになっていたからすっかり使っていなかったその場所に、もう三日間いる。
あの朝からずっと、ここにいる。
何度も窓の外を見ては、世界が元に戻ったんじゃないかと現実逃避している。
だけどそれも、そろそろ終わりだ。
いつまでも、ここにはいられない。
食べ物はないし、僅かにあった水ももうない。
ここを出なければ――。
ベッドの脇に置いてある、金属バットを手に取った。
あの朝見た光景はただの夢で、ドアを開ければ母と妹が生きているのではないかという希望は持っていない。
何故ならこの三日間、ずっとドアを引っ掻く音が聞こえているから。