ONE LOVE
#02 ドッペルゲンガー
その日の夕方。
チハルは出勤し、今日はバイトが休みな俺は一人テレビを眺めていた。


『…で、その人は僕のドッペルゲンガーでぇー…』

何かの特番か。
芸人が何十人も集まってトークを繰り広げていた。


ドッペルゲンガー…か。

自分にそっくりな人間がこの世には3人いるとかいう話。

全員に会ったら死ぬんだっけか?

そんなの、モノマネ番組でよくやってる"そっくりさん大集合"とかいうので集めたら、芸能人に似てる人なんてアホ程見つかる。


それで死なない芸能人はなんだっつーんだよ。

俺はニコニコしながら喋る芸人の顔を眺めた。


どこにでも居そうな顔。


そりゃ、ドッペル何とかも居るだろう。

俺はブラックの缶コーヒーをグイっと飲むと、鼻で笑った。
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