ONE LOVE
彼女は目を細める事もなければ眉間にシワを寄せる訳でも無い。

むしろまるで太陽の輝きを目で確かめるように見つめていた。

彼女は夕暮れ時にしょっちゅうここに居て夕焼けを見つめている。

彼女は目が見えないらしい。
光を感じる程度だと、この辺に住む主婦の噂で聞いた。

「君、いつも居るよね？」

気付けば俺は彼女に声をかけていた。

彼女の体がピクンと小さく跳ねる。

「えっ…」

彼女は目を泳がせる。
目の前に居るはずの俺にはちゃんと目を合わせない。


いや、正しくは"合わせられない"んだ。
彼女は俺の方に一応体を向け、うつむいた。


「…えと…あのっ…」

身をすぼめる彼女に、一瞬申し訳ない気持ちが溢れてきた。


「あ…ゴメン。俺、君の事ここでよく見るからさ。」

そう言うと彼女は顔を真っ赤にする。
太陽の効果かも知れないけど真っ赤になった彼女はなんだか可愛く見えた。
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表紙・目次

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