雨上がりに。
もらったチョコレートを食べながら旅館の方へ歩いていく。
わたしの好きな甘いミルクチョコレート。
甘さは一瞬で消えて、口の中は空っぽになってしまった。
旅館へ戻ると田中さんが待っていた。
「さんきゅ!誰に渡した?」
「えっと、日和さんって人です」
「あぁ!兄貴か!」
え?兄貴?
兄弟???
でも苗字が…
「俺が勝手に兄貴って呼んでるだけや!」
頭にいっぱいはてなを浮かべていると田中さんは答えてくれた。
「もしかして、兄貴ってことは、日和さんの方が田中さんより年上なんですか!?」
「おう、そうや!俺もびっくりしたわ!」
えええええええ!?!?!?!?
田中さんはさっき22歳と言っていた。
日和さんはぱっと見20歳とかそれより若いくらいに見えたからかなり衝撃的だった。
「日和さんって何歳なんですか!?」
「24歳やったかな?」
見た目と実際ってやっぱ全然違うんやぁ…。
「あ、そうや。女将さんが夜まで仕事ないから滑ってきてええみたいやで!行くで!」
わたしはそのまま田中さんに引っ張られて滑りに行くことになった。
自分の部屋でウェアに着替える。
スキーするのは3年ぶりくらい。
中学までは親に言われてずっと競技をしていた。
高校に入ってからは部活も勉強も大変だったため、やめてしまっていた。
楽しみやなぁって思いながら部屋から出て田中さんと合流した。
「川瀬めっちゃええ板使っとるやんけ!元レーサーなん!?」
「そうです。中3までは大会出たりとかもしてたんで…」
そしてゲレンデまで板をかついで歩き、板を履いてリフトに乗った。
リフトに乗っているとスクールの人がちらほらレッスンしているのが見えた。
小さい子を教える人、中学生くらいの子を教える人、本当に様々だ。
久々のスキーにわくわくしながらリフトはどんどん上へと行く。
「川瀬まだゲレンデの道とか分かってへんやろ!俺の後ろ着いてき!」
「あ、お願いします」
初めてのゲレンデを田中さんに案内してもらいながら滑った。
やっぱり滑るのは楽しい。
自然と笑みも溢れる。
滑り始めて2時間くらい経つと、田中さんがいきなり手を振り始めた。
「おーい!兄貴〜!」
手を振る方向にはスクールのウェアを着た人2人がいた。
ゴーグルとヘルメットをしているため、誰かはよく分からない。
けど、田中さんがそういうならそうなんだろう。
日和さん。
「田中やん!今日は誰と滑っとん?」
「さっき多分兄貴も会いましたよ!うちの新人の…」
そう言われてわたしはゴーグルを外した。
「あぁ!川瀬茉耶、やっけ?」
わたしは頷いた。
そしてそのとき日和さんの胸についている名札を見ると、『主任 楢橋日和』と書いてあった。
「え、日和さんって主任なんですか?」
「なに、見た目の割にって思った?」
「はい。すごいなぁって」
「照れるなぁ」
日和さんはすごく話しやすい人だった。
田中さんもそうだけど、それとは何か違う方向で。
「いたっ!?」
すると突然日和さんが叫んだ。
どうやら一緒にいる人にストックで叩かれたみたいだった。
「なんではるかと一緒おるのに、はるかのこと無視するん!」
「ごめんごめん、分かったから」
自分のことをはるかと呼んだことで誰か分かった。
あの時の女の人だ。
本当にどういう関係なんだろ…。
「またJKに手出すのはあかんで!」
はるかさんは突然そう言った。
え…?
手出すって日和さんってそういう人なん?
「出してへんから!変な言い方すんな」
はるかさんに対しての態度が少し変わる。
怒ると怖い人なんかな…。
そんなことを思いながら2人を見ていた。
でも、
2人を見る目が気付けば
違うものに変わって行くんだ。
わたしの好きな甘いミルクチョコレート。
甘さは一瞬で消えて、口の中は空っぽになってしまった。
旅館へ戻ると田中さんが待っていた。
「さんきゅ!誰に渡した?」
「えっと、日和さんって人です」
「あぁ!兄貴か!」
え?兄貴?
兄弟???
でも苗字が…
「俺が勝手に兄貴って呼んでるだけや!」
頭にいっぱいはてなを浮かべていると田中さんは答えてくれた。
「もしかして、兄貴ってことは、日和さんの方が田中さんより年上なんですか!?」
「おう、そうや!俺もびっくりしたわ!」
えええええええ!?!?!?!?
田中さんはさっき22歳と言っていた。
日和さんはぱっと見20歳とかそれより若いくらいに見えたからかなり衝撃的だった。
「日和さんって何歳なんですか!?」
「24歳やったかな?」
見た目と実際ってやっぱ全然違うんやぁ…。
「あ、そうや。女将さんが夜まで仕事ないから滑ってきてええみたいやで!行くで!」
わたしはそのまま田中さんに引っ張られて滑りに行くことになった。
自分の部屋でウェアに着替える。
スキーするのは3年ぶりくらい。
中学までは親に言われてずっと競技をしていた。
高校に入ってからは部活も勉強も大変だったため、やめてしまっていた。
楽しみやなぁって思いながら部屋から出て田中さんと合流した。
「川瀬めっちゃええ板使っとるやんけ!元レーサーなん!?」
「そうです。中3までは大会出たりとかもしてたんで…」
そしてゲレンデまで板をかついで歩き、板を履いてリフトに乗った。
リフトに乗っているとスクールの人がちらほらレッスンしているのが見えた。
小さい子を教える人、中学生くらいの子を教える人、本当に様々だ。
久々のスキーにわくわくしながらリフトはどんどん上へと行く。
「川瀬まだゲレンデの道とか分かってへんやろ!俺の後ろ着いてき!」
「あ、お願いします」
初めてのゲレンデを田中さんに案内してもらいながら滑った。
やっぱり滑るのは楽しい。
自然と笑みも溢れる。
滑り始めて2時間くらい経つと、田中さんがいきなり手を振り始めた。
「おーい!兄貴〜!」
手を振る方向にはスクールのウェアを着た人2人がいた。
ゴーグルとヘルメットをしているため、誰かはよく分からない。
けど、田中さんがそういうならそうなんだろう。
日和さん。
「田中やん!今日は誰と滑っとん?」
「さっき多分兄貴も会いましたよ!うちの新人の…」
そう言われてわたしはゴーグルを外した。
「あぁ!川瀬茉耶、やっけ?」
わたしは頷いた。
そしてそのとき日和さんの胸についている名札を見ると、『主任 楢橋日和』と書いてあった。
「え、日和さんって主任なんですか?」
「なに、見た目の割にって思った?」
「はい。すごいなぁって」
「照れるなぁ」
日和さんはすごく話しやすい人だった。
田中さんもそうだけど、それとは何か違う方向で。
「いたっ!?」
すると突然日和さんが叫んだ。
どうやら一緒にいる人にストックで叩かれたみたいだった。
「なんではるかと一緒おるのに、はるかのこと無視するん!」
「ごめんごめん、分かったから」
自分のことをはるかと呼んだことで誰か分かった。
あの時の女の人だ。
本当にどういう関係なんだろ…。
「またJKに手出すのはあかんで!」
はるかさんは突然そう言った。
え…?
手出すって日和さんってそういう人なん?
「出してへんから!変な言い方すんな」
はるかさんに対しての態度が少し変わる。
怒ると怖い人なんかな…。
そんなことを思いながら2人を見ていた。
でも、
2人を見る目が気付けば
違うものに変わって行くんだ。