あなたで溢れる
ゆかりがどうにか目を覚ました。
「大丈夫?」
聞くと、うんと頷いてくれた。
タクシーを止めてお友達さんとゆかりを見送る。
「英里奈ちゃんがザルで良かったよ〜」
夏井君が意地悪く言う。
確かに私はザルですけど、ね。
「夏井君ありがとうね…あ…修も…ありがと」
先程のイチャイチャの姿を思い出してしまい、なんとなく素直になれない。
「修也く〜んどこ〜?ね〜」
の甘い声が聞こえて、身体がビクッとなった。
…修也君か…
聞きたくない
ペコっと会釈して私は家路へと急いだ。
「…ばっ‼︎ ちょっ、待て‼︎ こんな時間に1人で帰んな‼︎」
焦った修の声が聞こえたが足を止めなかった。