あなたで溢れる
夕飯を終え、ラグに横になった修の髪に触れる。

「なに?」

目を閉じて気持ちよさそうにしている修は確かに猫っぽいかもしれない。

「相変わらずフワフワ。気持ちいい」

私が言うと

「英里奈の黒髪サラサラの方が撫でてて気持ちいい気がするけどね〜」

と鋤きかえしてきた。
サラサラボブが揺れる。

「…」

「…」

このままじゃ、恋人の雰囲気だ…

虚しくて。

恥ずかしくなって。
根負けして。
私はペチンッと修のおでこを叩いて、この甘い雰囲気を壊した。
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