あなたで溢れる
「……帰る」

修がボソッと呟く。

「…え、あ、うん」

私もどうにか返す。

いつも通り私をハグして、おでこにチュッと小さくキスを落として。

「…気をつけて」

といっても、
アパートの扉を開けて徒歩5歩。
修は隣の部屋に入っていった。

お腹にいる時からの幼馴染み。
ずっと幼馴染み。

私が家を出る時も、一緒についてきてくれた。
過保護な兄が無理矢理頼み込んだらしい。
律儀な優しい幼馴染みだ。
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