雪のなかに猫
「遥ちゃんごめんな。こう言い出したら聞かないんだよ。」
なんて言う達也さんに苦笑しながらも四人で出かけることになった。行き先はショッピングモール。
「遥姉様!ここの二階にあるドーナツ専門店の裏メニューでご存じですか?」
「え、知らない。」
っと言うか……ショッピングモールに来たのが初めてかなー、なんて。言えない。
「なら、一緒に食べに行きませんか?きっと姉様のお口に合うと思うんです。」
「うん。でもさ、やっぱりお姉様って言うのやめない?」
「どうしてですか?」
「んー。同い年だし?」
そう言うと、嫌だ。と言いかけた綾華ちゃんに誠さんが咳払いをしていた。それを聞いた綾華ちゃんは姉様呼びをやめた。
私たちは移動してドーナツの裏メニューというものを食べに来た。
注文して席に座り待っていたら、注文の品が運ばれてきた。目の前には、カゴに入ったカラフルなドーナツ達が並んでいる。これは裏メニューというか……ドーナツ全種類盛りだよね?そう思いながらも綾華ちゃんと食べる。
「美味しい!」
「よかった!遥お……遥お…ちゃんのお口にあって……」
【遥おちゃん?】と不思議に思いながら。私達はきゃっきゃと話しながら食べる。誠さんと達也さんはコーヒーを静かに飲んでいる。周りにいる女の子達の視線を浴びながらも静かに……
「誠さん。たべる?」
「ん?あぁ。」
一口サイズに切って誠さんの口に運ぶとパクッとたべる。それを見ていた女の子達の視線が鋭くなり私を射抜く……ビシビシと射抜かれる中モグモグと食べていた。
「そうだ、遥ちゃん!この後服を見に行きませんか?」
「服?」
「はい!遥ちゃんにはどんな服も似合うと思うの!!」
でも、私………
断ろうとしたが誠さんが耳元でつぶやく
「遥の事だからお金が……とか思ってるんでしょ?大丈夫。気にしないで?彼女が欲しがるものだったらなんでも買ってあげるから。」
と、言うと誠さんは微笑み頭を撫でてくれる。
そんな誠さんにニッコリと微笑みながらも少し申し訳ない気持ちになった。