雪のなかに猫
誠視点
俺が遥に出かけてくると言って来たのはスーパー。買いに来たものは食材。いつもなら奏に任せるが奏はあいにく別件で忙しい。この前道であった女のことでだ……
買い物かごを持って店内を歩いていたらジロジロと奥様方の視線が刺さる。さっきから【随分とイケメンで奥様思いのだんな様ね。奥様の変わりにお買い物かしら?】とコソコソと聞こえてくる。
そんな奥様方を気にせず買い物をし終えて帰ろうとしたら途中のコンビニで何やら聞き覚えのある声が聞こえ、駐車場には見覚えのある車が止まっていた。
「だからー!!私は遥さんのとこにいーきーたーいーのー!!」
「勘弁してくれよ。俺だって首が繋がるか繋がらないかの際どいところに行くことになるんだぞ!?遥ちゃんにお前がベタベタしてたら俺が睨まれるんだぞ!?少しはお兄ちゃんのことも考えてくれよ。」
と、コンビニの出入口で兄妹喧嘩をしている。兄妹組を見つけた。そろそろと近づ兄妹組の兄、達也の背後から声をかける。
「ほぉー。繋がるか繋がらないか……ねぇ。」
そう言うと達也は勢いよく振り返り目を白黒させていた。そんな兄の様子も構わずに妹、綾華がずいっと俺に身を寄せて
「誠さん!遥ちゃんと遊びたいです!!」
と、言ってくる。それに、いち早く行動したのが達也で、俺をチラチラ見ながらも今日は諦めるようにと説得していた。
「綾華……今日は無理だ……最近出かけてばかりだから遥も疲れてると思うし……昨日もあっただろ」
「んー。誠さんは遥ちゃんと一緒に住んでる……ずるい……」
そう言って拗ねる綾華に俺は達也をジロっと見るも……達也は達也で遠いところを見つめていて目が死んでいた……
「はぁ……遥が甘いもん食べたいって言ってた。俺は選べないから綾華が選んでくれると助かるんだが?」
そう言うとすねていたのが嘘のように、私のとっておきのスイーツを!!。とコンビニに入りスイーツを選んでいた。コンビニだけではすまず、結局はケーキ屋めぐりに付き合わされた。