理系教授の秘密は甘々のはじまり
葉山はいつも、ネットで新刊や古本を購入していた。

しかし、その日は前日から一挙放送された旧作アニメを見てしまい、どうしても原作を読みたい衝動にかられた。

葉山のマンションには女性を入れたことはない。大量の漫画や小説、DVD、ゲームにドン引きされてしまうことは目に見えていたからだ。

葉山は、わざとボサボサの髪にラフな服装で玄関を出ると、目的の古本屋"コミックメイツ"へ向かった。店の100m手前ぐらいで分厚い牛乳瓶眼鏡を掛ける。

もちろんだて眼鏡であるが、臨床薬物動態研究室の葉山だとばれるのはよろしくない。

葉山は、少女漫画を買っていることを誤魔化すために、まずは少年漫画コミック、ゲームソフトを手に取った。

そして、少女漫画コーナーには誰もいないことを確認すると足早に目的のコミックを販売する編集社名の書かれた本棚に駆け寄った。

ずいぶん昔の漫画だったが、5巻までは揃いそうだ。

葉山は一旦レジへと向かったが、途中でもう1冊読みたいと思っていた少女漫画があったことを思い出して踵を返した。

"あった"通路をまっすぐの突き当たりにそのタイトルが見えた。

走り寄って手を伸ばしたその拍子に、誰かが伸ばした腕とぶつかり、葉山の抱えていた漫画やゲームソフトが落下した。

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