理系教授の秘密は甘々のはじまり
「,,,以上のように新薬○○は敗血症に効果的であるといえます。ご静聴ありがとうございました」
波実は、昨日の葉山との練習通りなんとか時間内に発表を終えることができた。
途中、言葉に詰まることもあったが、なんとか原稿に添って発表できたはずだ。しかしここからが問題だ。4分間の質問タイム。
波実が緊張した面持ちで会場を見る。座長が質問を促した。
「はい」
手を挙げて質問してきたのは、昨日のポスターセッションブースで波実に話しかけてきた坂本だった。
「京都K大の坂本と申します。貴重な発表ありがとうございました。H大が研究中のこの新薬の効果は、DICの発生起序におけるbacterial thanslocationを阻害する因子を含んでいると考えてよろしいのでしょうか?」
「それにつきましては,,,」
波実が口ごもると、次演者席の後ろに座っていた葉山が手を挙げた。
会場がざわめく。学会にはほとんど顔を出さない葉山真澄が一学生の研究発表の共同演者として発言しようとしている。
「共同演者のH大葉山です。新薬○○はまず、腸内細菌層の乱れを,,,」
葉山の簡潔で完璧な回答に、坂本を初め、会場の聴講者が感嘆の声をあげる。
質問の制限時間が終了に近づいたため、司会者が言葉を繋いだ。
「新薬の効果に今後、期待が高まりますね。鈴木先生、葉山先生貴重な研究発表ありがとうございました。時間となりましたので次席の演題へ移りたいと思います」
波実はホッとして演者席を降り、葉山の隣の聴講席へと移動した。
「フォローありがとうございました」
「いや、あの質問も想定して回答を準備していたが、正直別の質問が来ると思っていた。すまない」
昨日の練習では、今日の坂本の質問に対する回答を準備はしていなかった。他方面からしっかりと準備する葉山のことだ。この質問がきたら自分が答えると決めていたに違いない。
とはいえ、波実にも答えられない内容ではなかったのだが、会場の聴講者にとっては葉山教授の簡潔な説明を聞く方が価値があったに違いない。
「次は教授の講演ですね。私も聴講します。頑張って下さいね」
「ああ、ありがとう」
同じセクションの演題五題の発表が終わると会場が明るくなり、10分の休憩となった。
葉山と波実が立ち上がると、すかさず坂本が走りよってくるのが見えた。
波実は、昨日の葉山との練習通りなんとか時間内に発表を終えることができた。
途中、言葉に詰まることもあったが、なんとか原稿に添って発表できたはずだ。しかしここからが問題だ。4分間の質問タイム。
波実が緊張した面持ちで会場を見る。座長が質問を促した。
「はい」
手を挙げて質問してきたのは、昨日のポスターセッションブースで波実に話しかけてきた坂本だった。
「京都K大の坂本と申します。貴重な発表ありがとうございました。H大が研究中のこの新薬の効果は、DICの発生起序におけるbacterial thanslocationを阻害する因子を含んでいると考えてよろしいのでしょうか?」
「それにつきましては,,,」
波実が口ごもると、次演者席の後ろに座っていた葉山が手を挙げた。
会場がざわめく。学会にはほとんど顔を出さない葉山真澄が一学生の研究発表の共同演者として発言しようとしている。
「共同演者のH大葉山です。新薬○○はまず、腸内細菌層の乱れを,,,」
葉山の簡潔で完璧な回答に、坂本を初め、会場の聴講者が感嘆の声をあげる。
質問の制限時間が終了に近づいたため、司会者が言葉を繋いだ。
「新薬の効果に今後、期待が高まりますね。鈴木先生、葉山先生貴重な研究発表ありがとうございました。時間となりましたので次席の演題へ移りたいと思います」
波実はホッとして演者席を降り、葉山の隣の聴講席へと移動した。
「フォローありがとうございました」
「いや、あの質問も想定して回答を準備していたが、正直別の質問が来ると思っていた。すまない」
昨日の練習では、今日の坂本の質問に対する回答を準備はしていなかった。他方面からしっかりと準備する葉山のことだ。この質問がきたら自分が答えると決めていたに違いない。
とはいえ、波実にも答えられない内容ではなかったのだが、会場の聴講者にとっては葉山教授の簡潔な説明を聞く方が価値があったに違いない。
「次は教授の講演ですね。私も聴講します。頑張って下さいね」
「ああ、ありがとう」
同じセクションの演題五題の発表が終わると会場が明るくなり、10分の休憩となった。
葉山と波実が立ち上がると、すかさず坂本が走りよってくるのが見えた。