七色ペンダント

一度伏せ、顔を上げた吉田は、今にも泣きそうな声で言った。



「行かないでくれ……」



「………え?」



はっと我に返り、「すまない」と立ち去ろうとした彼を止めた。



「待って」



「…………」



「あなたに、言わなければいけない事がある」



深呼吸をして、彼をまっすぐ見つめて話し始めた。



「私は、この時代の人間じゃない。1000年以上後の未来から来ました」



吉田さんは目を見開いたが、すぐにいつもと変わらない表情に戻り、試すように黙って聞いていた。そして私はふところからペンダントを取り出すと見せながら言った。



「1000年以上が経つた日本は、人間の造ったカラクリ達によって自由を失いました。そのせいで大勢の人間が殺された。



私は反乱軍を動かし、戦いました。いくら戦っても増え続ける奴らに心が折れた時もあります。そんな時です。この時代の事、首飾りの存在を知ったのは。希望と呼べる手段が見つかったんです。



未来のない未来、そんな私たちの時代を改正できるかもしれない、そして私を時空移動させたのが、この首飾りなんです」
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