七色ペンダント

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沖田サイド


屯所に戻ると、そのまま土方さんの部屋へ向かった。



「土方さん」



「入れ」



土方さんはいつものように書物に目を通していて、僕を見ようともしなかった。



「文と会いました」



そう伝えると、土方さんは血相を変えて僕を見た。



「!!! どこで」



「街で。元気そうでしたよ。とても。要はこれだけです。じゃあ僕はこれで」



そう一気に言うと、襖に手をかけて言った。



「そうそう。彼女、新選組を脱退させて下さいですって」



「ちょ、待て!総司…」



背後でそう止められたけど、僕は振り返らずに部屋を出た。



“あなたが、嫌い”



そんな彼女の言葉が、頭の中で何度も繰り返していた。



「っ…………」



今になって胸がズキズキした。

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