七色ペンダント
「別に。何でもないよ」
私を庇うように前へ立つ斎藤さんを見て、沖田さんはムッとしているようだった。
「何故怒っている?」
「怒ってなんかないよ」
沖田さんはそのままふいっと行ってしまった。
「沖田さん、どうしたんですかね」
「さぁな。俺が話しておく」
そう言う斎藤さんは、もう既に理由が解っているようにも見えた。
「すみません」
「何故謝る?」
「こんな不細工な私と恋仲だなんて勘違いされてしまって、嫌でしたよね」
「嫌な事は無い。それに、大島は綺麗だ」
「最後なんて?」
「聞こえなくていい」
背を向けた彼の耳は少し赤くなっていた気がした。