恋の3択
寝不足のまま学校へ向かう。
結局、自然な質問ってのが思いつかず…
ただただ、ぼーっとした顔で席に座っていた。
今日も…陸上部は朝練の日か。
昨日は、散々だったから…
今日は普通どおりに登校した。
寝不足で…寝坊寸前だったけどね。
わりと人が集まって、教室の中は
ガヤガヤとうるさくなってきた。
うるさい集団に目をやると…
あ!春樹。
今日は野球部は朝練無いんだ。
相変わらず、男子の中では人気があるようで。
あの様子だと…あたしのことは、しゃべって
ないみたい?
こっち見た!
春樹と目が合った。
あたしの隣の席に、チラッと目をやり。
また、友達と話し始める。
…なに?なんか言いたげ!?
やっぱりまだ油断ならん!
すると、陸上部の子たちが教室に入ってきた。
わ、かいと!
まだ暑いのか、制服のシャツが開いている。
きゃ…。それはズルい…。
いや、ズルくはないけど、見てられない…。
視線をそらして、外を向いていると
隣に座るかいとの声と、誰かの声がする。
ん?この声は…
こーっそり耳を傾けててると…
かいとが、春樹と呼んでいる。
え…?
ビクっとして、横を向くと、
なんで!?
かいとも春樹もこっちを見てる!
え??何?
つい、声に出てしまった…。
すると、春樹が
さき、おまえ…数学のプリントやってきた?
え?そう言えば、今日提出のがあったっけ…
確か、だいぶ前に…
数学のノートを開くと、プリントが
挟んである。
うん。一応…やってあるね。
やった!
かいとも忘れてたって言うからさー。
いつも写させてもらってたんだよな。
さき、見せてよ。
おまえも数学得意だったよな。
え?そうでもないけど…
答えながらも、ドキドキが止まらない。
だって、ずっと…かいとがあたしを
見てます!見てますよぉ?
じゃ、遠慮なく。と、プリントを
うばいとる春樹。
そのままそこで写し始める。
よしっ。と、満足そうに笑い、
かいと、おまえも写せば?
じゃ、後はよろしく。と、自分の席に
さっさと帰って行った。