恋の3択
…まだ書いてたんだ。遅いじゃん。
うん。こんなに遅くなるつもりは
無かったんだけどね。
あ?自転車パンクしてんな。
…そうみたい…。
あーこりゃ、ダメだな。
なんか踏んだんだろな…。
これ、俺持ってってやるから。
おまえ、バスで帰れ。
え!?
これ、押して帰るの??
…まあな。
だって、遅くなっちゃうよ!
ん?まあ…何とかなるよ。
おまえんちの家の前に置いとくわ。
え…でも…。
ほら、おまえ早く行かないと、バス来るぞ。
遅れたらやべーぞ。もう暗いしな。
俺は大丈夫。男だから。
と、あたしを真っ直ぐに見た。
その時…男だからという言葉に、
何故かドキっとして、春樹を見つめ返すと…
ちょっと照れたように目をそらし、
わざと乱暴に、自転車を出した。
はいはい。
ここは、優しい春樹くんにまかせて、
一応、女子のおまえは…走る!
と、バス停を指差した。
一応って何よー!と、言ったものの
本当にバスが来るのが遠くに見えたから。
わかった。じゃあ本当にバス乗るよ?
だから、行けって早く。
…うん。ありがとう。
春樹も、気をつけてね。
おう。お礼いっぱいもらうわーと、笑って。
ほらほら!と、せかされるまま、
バス停へ走った。