恋の3択
かいとと春樹は、掃除当番だったので、
あたしは先に出て、店の近くの公園にいた。
待ってる間、ふと、しばらくアプリを
開いてないことを思い出して。
周りに誰もいないのを確かめて、開いてみた。
あ、そうだ。
嫉妬させましょうのクエストが
そのままだったんだ…。
前…朝の教室で、春樹としゃべってるとこに
かいとが来て、俺、邪魔?って言ったこと
あったなぁ…。
あれは…嫉妬…?なわけはないよね…。
そもそも…嫉妬してもらえるなら、
好きってことじゃないの?
このクエスト…クリアできるのかなぁ…。
トップに戻って、かいとの画面を見ていたら
後ろから、
それ、かいと?と、声がした。
心臓が飛び跳ねた。
慌てて隠して、振り返ると…。
春樹が、一人でこっちを見てた。
や、やだ!春樹!ビックリした!
なんでもないの!や、やだな。
ほんと、違うの!
もう、何を言ってるか
自分でもわけわからないほど、パニックで。
春樹は、ふざけも、からかいもしないで
じっとあたしを見ていた。
ふっと視線をはずしたかと思ったら、
ぼそっと…。
俺、用事思い出したから、先帰るわ…。
かいと、陸上部の先輩に捕まって遅れるって。
わりぃけど…帰ったって、ゆっといて。
え…?でも…!
うろたえるあたしに。
もう、俺がいなくても…大丈夫だろ?
春樹が、いつもと違う…
すごく優しい顔で…そう言った。
心臓が、さっきと違う鼓動を打つ…。
じゃ、頑張れよ!
そう言われて、あたしは…
本当に行こうとする春樹の手を、思わず
つかんでいた。
あたしの手をチラッと見た春樹は…
さき…離しなよ。
俺だって、そろそろ限界だよ…。
そう言って…
あたしの手を振り払って、行ってしまった…。