恋の3択
俺…さきは、俺のこと好きなのかなって
思ってたんだよね…と、笑った。
でもさ、下手なこと言って…
違ってても、かっこわりーなー、とか。
3人で遊んでるのも、すごい楽しかったしさ。
まだ、このままでも、いっかなと…
思ってたんだ。
それなのにさー。
もしかしたら、春樹に取られちゃうかもって。
…焦って、告って。
俺、ずるいじゃん?と、笑う。
もう、あたしは、ただただ素直に
気持ちを話してくれる声に、耳を傾けていた。
でも…わかった。
ちがう。あたしの方がずるい。
もっともっと、あたしの方がずるいよ。
泣けてきた…。
ちょ、さき!どうした!?
慌てるかいとの声を、遮るように言った。
あたし…かいとの彼女になりたかったの!
手を伸ばして…
かいとの、前髪に少し触れてみる。
え…?赤くなるかいと。
この短い前髪の、かいとを見て…。
好きに…なって。
どうにかして…彼女になりたくって。
好きになってほしくって。
でも、1人じゃ何にも出来なかった。
全部、春樹があたしのために…。
それなのに、全然気づかなくって。
春樹が、つらかったこと…。
気がつかなくって…。
でも…気づいたら…。
春樹の悲しそうな顔が…忘れられないの。
あたしの好きなのは、かいとなのにって。
もう、どうしたらいいのか…
…わからなくって。