35階から落ちてきた恋 after story ~you are mine~
「きゃあ」
いきなりヘッドホンを外されて腕をつかまれていた。
飛び上がって大きく目を見開くと目の前には前髪が少し乱れて焦った表情の貴くんがいた。
どうやらうとうとしてしまっていたらしく、彼が帰宅したことに気が付かなかった。
「部屋の電気が付いてても果菜がいないのかと思った。焦った」
焦ったのは私も同じだ。気配に気が付かずいきなり彼が現れて心臓はドキドキするし腕をつかまれたままで動けない。
私の座るカウチソファーとテーブルに目をやって「スマホは?」と不機嫌そうに低い声を出された。
そんな彼の様子に私も黙って寝室の方向に視線を送る。
はあっと大きく息を吐いた貴くんは私を持ち上げるように引っ張り上げて立たせる。
「とにかく中に入って」
王様はかなりご機嫌斜めだ。