35階から落ちてきた恋 after story ~you are mine~
おとなしく彼に従ってリビングルームに入りいつものクッションを抱えてソファーに座った。

「昨日の夕方一緒にいた男は誰なんだ」

え?てっきり昨日なぜ連絡しなかったのかと責められると思ったのに、予想外の言葉に驚いてしまう。

「果菜、昨日一緒にいた男は誰かって聞いてる」

王様は怒っている。怒っているんだけど、なぜそれ?

「一緒にいたって・・・須川さん?偶然バーで会っただけだけど。5分も話してない」

「違うだろ、夕方会ってた男がいるだろ?」
「夕方って・・・、ああ藤川先生のこと?それとも事務長さんかな」

昨日は午後から藤川先生とその奥様の夏葉さんと藤川先生のご実家の経営する病院の事務長さんとホテルのカフェで会っていた。
そのことかな。

「ずいぶんと親し気に仲良く歩いてたみたいだったが?」
「・・・どういう意味?見たの?」

「俺は空港に向かうタクシーの中からな。果菜とそいつをホテルのラウンジで見かけた奴もいる。--まさかそいつと一緒に昨日ホテルに泊ったんじゃないよな?」
「は?何言ってるの?」

「俺との連絡断って何してたんだ?」
「もしかして、何か私のこと疑ってるの?」

貴くんは一瞬ひるんだように口を閉じた。
そっか、私、疑われてるんだ。胃袋の奥の方をぎゅっとつかまれたように重苦しくなった。


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