35階から落ちてきた恋 after story ~you are mine~
「私、仕事辞めようかと思って。というか今月いっぱいで木下クリニックを辞めるの。その後の仕事のことでうちのクリニックに非常勤で来ている藤川先生の奥様と藤川先生のご実家の経営する病院の事務長さんが話を聞いてくれることになって、事務長さんの都合で昨日の午後に会ってもらってた」

私は真っ直ぐ貴斗の顔を見た。
「仕事を終えて藤川先生と待ち合わせしていたホテルのカフェに一緒に行ったんだけど。待ち合わせのホテルのカフェは藤川先生の奥様の希望だったし。ホテルに行ってたからって私にはやましい所なんてこれっぽっちもない。あなたにやましいことがあるから私のことをを疑ったんじゃないの?」

「ーーやましいってなんだよ。それに果菜、仕事辞めるなんて聞いてないぞ」

「そうね、言ってないもん。毎晩お酒飲んで朝帰りする恋人にいつ言えばよかったの?他の女性の香水の匂いと口紅つけて帰ってくる人にどんな話をすればよかったの?いつどこで何をしてるのかわからない相手とどうやって話をしたらいいの?」

私の反撃に貴斗は大きく目を見開いた。
「お前、何言って」
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