35階から落ちてきた恋 after story ~you are mine~
結局結婚まであと何日・・・とか楽しむことができず不安ばかりの中で過ごした婚約期間だった。
いきなり入籍しちゃったんだなー。
思えば、お付き合いする時だってこの人は強引だったっけ。

「ね、私オースティンホテルのピアノルームに泊まりたい」
1つくらい我がままを聞いてもらってもばちは当たらないよね?

「オースティンのピアノルームか」

貴くんは頷いて優しい笑顔を見せた。私が何を言いたいのかすぐに分かったらしい。

「夜、仕事が終わったら迎えに来る。支度して待ってろ。喉の準備もしておけよ」

「うん!」

オースティンのピアノルームはミュージシャン御用達のようなオースティンホテルのスイートルームのことで、そこのリビングにグランドピアノが置かれていることからピアノルームと呼ばれている。
大きな窓は夜景を楽しむことができる上に高性能の防音効果があるガラスが使用されているらしくプライバシーも守られる。
海外のアーティストが日本でのコンサートの時に宿泊したり、国内外のミュージシャンたちも曲作りなどのために数日間泊まり込んだりしていると聞いている。

久しぶりに貴くんと歌いたかった。
貴くんのピアノも聞きたい。
ミニキッチンもあるはずだからアップルティーが作れるように準備をしていこう。
そういえば、頂き物のシナモンスティックもある。
シナモンアップルティーもいいかもしれないし、昼間のうちにアップルパイを焼くのもいいかもしれない。

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