35階から落ちてきた恋 after story ~you are mine~

「あの、すみません!ちょっとよろしいでしょうか」
グレーのパーカーにジーンズ姿の若い女性が両手を広げて私たちの前に飛び出してきた。
キャッチセールスにしては強引じゃないか。
朋花さんと顔を見合わせた。逃げないと、だよね。

「ああっ!キャッチセールスじゃないです!」
パーカーの女性は手を繋いで逃げ出そうとした私たちに大声をあげた。
「どうか助けて下さい!」
女性の切羽つまった様子に私たちは思わず立ち止まってしまったのだった。



****
「・・・で、二人して夕方の地方局のお天気お姉さんの真似ごとをしてきたと」
真紀さんはクスクス笑いが止まらない様子で。

えーっと。
「明日の天気は晴れですって言っただけだよ」
「何だか逃げられなくなっちゃって。お天気お姉さんなんて偉そうなことはしてませんけど、ちょっとテレビには出ちゃいました」
朋花さんは口をとがらせ、私は恥ずかしくて居心地悪い。

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