35階から落ちてきた恋 after story ~you are mine~
「ああー、ホントに果菜ちゃんって純粋」
テーブルの抜こうから綺麗にネイルされた指が伸びてきて私の額をツンっとついた。

「林さんは撮影が終わってから果菜ちゃんがタカトの大事な月の姫って聞いて真っ青になったってわけじゃなくって。撮影中に見せるタカトやユウキへの気遣いや表情を見たり、どんどんよくなっていく雰囲気に驚いて最初にあなたに意地悪をしたことを後悔したらしいの。
撮影後に謝ろうと思ったらさっさとタカトが連れて帰っちゃったそうじゃない?声もかけられなかったって気にしてたのよ。それで、先日の私との撮影の時に私に「月の姫に私が謝ってたって伝えて欲しい」って言ってきたってわけ。私と月の姫が親しくしてるのは公然の秘密みたいなもんだから」

真紀さんはふふふっと優雅に笑った。

「タカトの特別な人でいるのは大変だけど、これからもこんなことはあるでしょうから頑張って。でも、嫌がらせに気が付かないで頑張る果菜ちゃんってのもいいわ。そそられるわー」
後半に若干意味不明の発言が混ざっていたけれど、真紀さんの言う通り。貴斗の特別な人でいる限りいろんなことがあるのだろう。
林さんが謝りたいと言っていたと聞いてさっき刺さった心の棘は抜けたわけじゃないけどかなり緩んでくれた。

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