35階から落ちてきた恋 after story ~you are mine~
「確かに。会う度綺麗になってるよな」
「往診のナースで来たときには厳しい顔つきしてたから、こんなに可愛いとは気がつかなかったなぁ」
「タカトが溺愛するはずだよ」

スタッフが果菜のことをかわいいだの色っぽいだのと言いだし、嬉しいよりもなんかむかつく。
「うるせー。果菜のことを見るな。評価もしなくていい」

「お前さ、そんなんでよく今回のコンサートツアーのプロモ撮影に果菜ちゃん使ったなあ」
呆れたようにユウキが片眉を上げた。

「は?何、何の話」
武蔵さんが食いついてくる。

「今度のツアーに使うやつ。ツアーテーマに合わせて撮影しようとしたんだけど、アフロディーテ役のモデルが急に降りてしまって。急遽果菜ちゃんに代役を頼んだんですよ。
それで、果菜ちゃん使って撮影したんだけど。彼女が予想よりかなりいい味出してくれて。
まぁ、アフロディーテって感じじゃなくなったんだけど、月の姫としていい働きをしてくれたんで結果オーライってなわけで。出来上がりを楽しみにしててください」

何やら自慢げなユウキの言い方に引っかかりを感じてつい睨んでしまう。

あの時カメラマンをしたユウキにじっくりと果菜を見せてしまったことは失敗だったかもしれない。
でも、あれはあのアフロディーテ役のモデルがあまりにクソったれのプロ意識のない女だったから仕方がなかった。
さすがの俺もあの女に抱き付かれて鳥肌が立ってしまったのだ。身体がはっきりと拒否反応を起こした。


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