35階から落ちてきた恋 after story ~you are mine~
対して、ユウキさんとヒロトさんはフレンドリーだ。もちろん、特定のファンと特別な関係になるようなことはない。みんなに優しいってこと。

朋花さんがユウキさんに向ける視線の意味はよくわからないけれど、LARGOのメンバーが会場にに入ってしまうと、朋花さんの目つきはいつもの穏やかなものに戻っていた。
「じゃあ、私たちも中に入ろっか」
「うん」

レッドカーペット脇、スタッフオンリーのスペースから西さんや真紀さん、貴くんたちを見ていた私たちだったけど、そろそろ会場に入っておかないと。
首から下げたスタッフIDがあることを確認して目立たない出入り口に向かおうとした時だった。

「あ、キミたち昨日のお天気お姉さんじゃない?」
一般とスタッフとの規制チェーンのすぐ向こう側にいる大勢の人たちの中から大きな望遠レンズをつけたカメラを持った若い男性が私たちに声をかけてきた。

えっ?と二人同時に振り返ると「やっぱりだ」の声が上がる。
その声に反応した他の人からも「昨日の東京の綺麗なオネーサン2人組」「おお!生で会えた」「ここで会えるとは」なんて口々に言いだすと、注目がこちらに集まり始める。
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