35階から落ちてきた恋 after story ~you are mine~
「私たち、芸能人じゃありません。この手を放してもらえますか?」
努めて冷静に声を出した。
落ち着けー、落ち着け、私。
こんな所で騒ぎを起こして貴くんや西さん、真紀さんに迷惑をかけちゃダメ。

「ここで何してるの?ねえ、連絡先交換して」
「いいえ、ごめんなさい。お断りします」
「いいじゃん。じゃあこの後の予定は?ご飯とかどう?」
執拗に誘いをかけてくる男性にどう対応しようかと悩み始めた時ーーー

「あれ、このお姉さん見たことあるかも」
その横にいたTシャツを着た男性が呟いてじっと私を見つめてきた。

まずい・・・こっちの人は昨日のラルゴのライブTシャツを着てる。
私の画像はネットで出回っていると聞いている。デートしていた時のものや”月の姫”と呼ばれる原因になったマンションの部屋から盗まれネットで流失されてしまった貴くんと私が歌う画像やそのほかにも週刊誌に撮られたものなどがある。

手に汗をかき始めた頃
「何してるんだよ、その手を離せよ」と人垣の中から声がした。
隣にいる朋花さんも「離して下さい」と私をひっぱってくれる。

「姫の手を離せ」
男性の背後にいたネイビーブルーのシャツの若い男性が私を掴む男性の肩を掴んだ。
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