35階から落ちてきた恋 after story ~you are mine~
「さて、コレ引き取っていい?安全のためにもいいよね?」

有無を言わせぬ貴くんの黒い笑顔に真紀さんは笑っているけど、周りのスタッフは凍り付いた。

「まだダメだよ」
返事をしたのは真紀さんじゃなくて西さんだった。

えっと声にならない息を飲むと、西さんはみんなに向かって笑いかけた。
「今からアフターパーティーだからね」

貴くんが笑顔を引っ込めて私を抱く手に力が入るのがわかった。
西さん、お願いです。火に油を注ぐのはやめてー。

「ごめんごめん、からかうつもりじゃなかったんだ。そんな怖い顔しないでちょっと話を聞いてくれよ。うちの奥さんの尻拭いをするつもりなんだからーー」
西さんがにこにこと貴くんに話しかける。

「それって」
「そう。うちの義妹と君の奥さん、追いかけられてるんでしょ。ちょっとまずいよね。会場の出口にファンが集まってる。無事に東京に戻さないとね」

全員の視線が西さんに集まった。


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