35階から落ちてきた恋 after story ~you are mine~
「果菜の希望も入れたい。どう思う?」

「んー、私は貴くんの嫁になりたかっただけだから正直なところ、そんなに結婚式の夢はないんだよね。女らしくないって言われちゃうかもしれないけど。式を挙げてもらえるんだったらそれでいい。うちの両親に見せられればどこでどんな風にやっても文句ないの。
貴くんの妻になるってことは普通ではいられないってわかってるし。事務所の意向とかしがらみとかファン心理とかいろいろ問題あるでしょ?私にはチンプンカンプンだもの。
だから、お任せします。あ、でも、ドレスだけは自分の意見も入れたいな~」

カニ爪の奥に詰まった身をカニフォークで戦っていたのをしばし中断して答える。
結婚式や披露宴なんて私の意見まで聞いていたらまとまるものもまとまらないはず。
そりゃあ昔はいろいろ夢もあったけど、この状況になれば文句など言えないと思う。

「そうか、任せてくれるんだな。良かった」
貴くんは少しだけホッとした顔をした。

そうしてまた二人してカニに戦いを挑む。
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