35階から落ちてきた恋 after story ~you are mine~
「果菜ちゃんが引き寄せられちゃうのか引き寄せてるのか。そのうちニンゲンも拾っちゃうんじゃね?」
ヒロトのひと言に俺は深く頷いた。
「そうなんだ。迷子と路上で困っている老人もよく出会うらしい」

つい先日、関東近郊の有名なテーマパークに二人で行った。
騒ぎにならないように地味なファッションに身を固めていったのが幸いして誰も俺がタカトだと気が付かなかったらしいのだが・・・果菜が迷子を拾ったのだ。それも3人も。

「いや、子どもや老人ならいいけど、そのうち人間の男を拾っちゃうんじゃないかってことだよ」
ヒロトがゲラゲラと笑うと、なぜかユウキがエナジードリンクでむせはじめる。
ゲホゲホしているユウキに大丈夫かと声をかけたけれど、”大丈夫”と手を振って見せるが、ひどくむせ込んでしまっている。
これから本番なのに、喉を傷めないか心配になる。

「木下先生でも呼ぶか?」
ゲホンゲホンっととりわけ大きな咳を出す。
ユウキはどうしたんだ。
いい、いいとゼスチャーするユウキを気にしていると
「本当に果菜ちゃんには注意しろよ」とヒロトに言われてしまう。
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