35階から落ちてきた恋 after story ~you are mine~
俺のスマホをのぞき込んだヒロトがニヤつく。
「お、何?もう貰い手ついたんだ。良かったな」

「ああ、琴美ちゃんに頼む前でよかったよ。ヒロトもサンキューな」

「こいつらの目的は果菜ちゃんじゃないだろうな?猫をもらったらお知り合いになれるとか」
全くヒロトはイヤな所を突いてくる。

「果菜もお天気お姉さんの一件から周囲をずいぶん警戒するようになったから問題ないーーと思う」
たぶん。
それに、あのコンシェルジュの坂井さんが変な獣医を紹介するとも思えないし、何か不審な点があったらすぐに手を打ってくれそうだ。俺もだが。

「いよいよ次は若い男を拾いそうで、タカトも苦労が絶えないな」
そうヒロトが言うと、近くにいた青山が嬉しそうに目を輝かせる。

「果菜はお前の事その辺の犬程度にしか見てないからな」
ジロリと睨んで釘をさしておいた。

「俺の扱いひどくないスか?俺も”姫失踪事件”の時には不眠不休で果菜さんを捜索したし、北海道でだってボディーガード頑張ったのに」
青山がしゅんと肩を落とす。
だからそういうところが犬だって言うんだけど。

「家出した時のことは果菜だって悪いと思ってるし反省してただろ。でも、果菜の中じゃお前は弟かーーーやっぱ犬だな」
「えええ・・・ひどっ」
八の字眉毛になった青山を鼻で笑うと、ユウキも肩を震わせて笑っている。
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