35階から落ちてきた恋 after story ~you are mine~
音楽番組以外のテレビにはほとんど出ないLARGOだけど、今は大手飲料メーカーのビールのコマーシャルに出演している。
演技を必要とするものではなくてミュージックビデオ撮影のようだったと言っていた。
貴くんの言った通りで、弾ける泡を背にLARGOの三人が演奏しているというシンプルで実に爽やかなコマーシャルだ。
「あんなに爽やかなイメージ植え付けなくてもいいのに」
私は『Moderato』のカウンターでシンガポールスリングをぐいっと一気に飲み干した。
あのコマーシャルのせいで新たなファン層を開拓したイケメン三人組バンドLARGOの認知度は更に上昇して仕事が増えていた。
本当にありがたいけどありがたくない。
「あああー、それジンベースだからそんなに勢いよく飲んじゃだめだよ」
アツシさんがギョッとして私を止める。
「大丈夫です。今夜は彼女の家に泊まるから」
隣に座る高校時代からの友達の美和をちらりと見ると、美和もうんうんと頷く。
「果菜ちゃん、今日タカトは?」
「ここで飲んで彼女のとこに泊まるってメールしてあるから大丈夫。進藤さんは忙しくて帰って来られないみたいでもう1週間くらい会ってない。どうせ今夜も帰ってきません」
「あらら」
ちょっとぶっきらぼうに答えると、アツシさんと美和が可哀想にって顔をした。
「アツシさん、お代わりください」
「あ、ちょっと果菜。あんまり酔う前に私の話を聞いてよね」
美和が私のグラスを持つ手を押さえる。
演技を必要とするものではなくてミュージックビデオ撮影のようだったと言っていた。
貴くんの言った通りで、弾ける泡を背にLARGOの三人が演奏しているというシンプルで実に爽やかなコマーシャルだ。
「あんなに爽やかなイメージ植え付けなくてもいいのに」
私は『Moderato』のカウンターでシンガポールスリングをぐいっと一気に飲み干した。
あのコマーシャルのせいで新たなファン層を開拓したイケメン三人組バンドLARGOの認知度は更に上昇して仕事が増えていた。
本当にありがたいけどありがたくない。
「あああー、それジンベースだからそんなに勢いよく飲んじゃだめだよ」
アツシさんがギョッとして私を止める。
「大丈夫です。今夜は彼女の家に泊まるから」
隣に座る高校時代からの友達の美和をちらりと見ると、美和もうんうんと頷く。
「果菜ちゃん、今日タカトは?」
「ここで飲んで彼女のとこに泊まるってメールしてあるから大丈夫。進藤さんは忙しくて帰って来られないみたいでもう1週間くらい会ってない。どうせ今夜も帰ってきません」
「あらら」
ちょっとぶっきらぼうに答えると、アツシさんと美和が可哀想にって顔をした。
「アツシさん、お代わりください」
「あ、ちょっと果菜。あんまり酔う前に私の話を聞いてよね」
美和が私のグラスを持つ手を押さえる。