35階から落ちてきた恋 after story ~you are mine~
鼻先を貴くんの胸にこすりつけるようにしがみつく。
貴くんの「さみしい」って言葉がとっても切ない。

「ホントは私も大丈夫じゃない。淋しくて辛い。でも、そう言っちゃいけないのかなって思って我慢してたの」

ぎゅっとしがみつくとぎゅうぎゅうと抱きしめ返してくれる。

「もっと言いたいこと言って俺を困らせていいんだ、果菜は我慢しすぎだって」
「甘えと我儘の境界線がわからないんだもん」

「相変わらずだな。そんなこと気にするなって言ってるだろ。お前の我儘なんて可愛いもんだ」
「・・・我儘だって思われてコイツ鬱陶しいとかって貴くんに嫌われたくない」

「そんなことで嫌うかよ。俺の深い愛をナメんじゃねえ」

やだっ。そんな言い方にくふふふっと笑ってしまった。

「じゃあ我儘言うよー。いっぱい言っちゃうよー」
「おう、言え、言え。言ってみろ」

「うん。言いたくなったら言うね」
にっこりすると、ため息が返ってきた。

「今言え、今」

え?「いま?」

「そう、今だ、今すぐ言え」

王様の眉間には軽くしわが。今の会話のどこに王様の不機嫌スイッチがあったんだろうか。私は素直に答えたっていうのに。




< 41 / 218 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop