35階から落ちてきた恋 after story ~you are mine~
黙って考えているとほっぺたをむにゅっとつままれる。

「いだぁいれひゅうー。たぁか、やめれぇ」

「だから、我慢しないで言えって言ってんだろうが。なのに、お前が言わないからだろ」
つまんだ手が離れるとキスが落ちてきた。

「言えって言ってんのに。強情なオンナ」

だって、私が思ってるのは明らかにムリなことばっかりなんだもん。
休日はずっと一緒にいたいとか、誰にも邪魔されない時間が欲しいとか。やっぱり旅行に行きたかったとか。

「このまま抱いていて」

やっと絞り出した声に「かしこまりました、姫」という返事と共に首すじに、胸元に貴くんの熱い吐息と共に唇が滑るように落ちてくる。甘噛みされたり舌を感じたり。

抱いていてって言ったけど、そっちの意味じゃないからっ!!
抱きしめていて欲しかっただけなのに。
でも、怒りながらも貴斗に流されてしまう自分が情けない。

閉じていた目を開けると、苦し気に揺れる彼の瞳を見つけてしまった。
相変わらずフェロモンダダ漏れの迷惑な男だ。
その容姿で多くの女たちを引き寄せているんだろう。

「私以外を見ないで」

思わず言ってしまったひと言に
「お前以外はオンナじゃない。心配すんな」
王様が降臨して私はまた目を閉じて身を委ねた。


目を閉じた私は貴斗が満足気に笑った姿を見ることはできなかった。

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