35階から落ちてきた恋 after story ~you are mine~
「ってことで、俺と果菜の出番は終わったよな?」
王様はユウキさんの撮影助手をしていた広告代理店の男性に声をかける。
「はい。タカトの撮影は無事終了です。ただ、ユウキの撮影が終わってませんので、申し訳ありませんが、月の姫をもう少しお借りできませんか?」
ん?
「は?果菜をユウキに貸せって?」
王様の不機嫌な声が。
「はい。構図が決まればシャッターは私が押します。ですが、被写体がユウキひとりっていうのも今回のコンセプトを考えると違う気がします」
「断る」
即座に言い切る貴くんに須川さんと呼ばれた男性は苦笑する。
「ははっ。即答ですね」
「当然だ。須川さん、果菜は貸さないよ」
「ですが、このスタジオは今日しか押さえてありません。今後のスケジュールを考えると、すぐにでも撮影を終わらせたいですし」
「じゃあ、他の女を連れてくればいい。木田川さん、誰か呼んで。ああ、お宅のバディにやってもらうってのは?」
貴くんの視線が代理店のパンツスーツの彼女に移る。
「うちの山下は貸せません」
今度は須川さんが即答。
「俺の果菜もダメだ。ヒロトの撮影みたいに赤ん坊でも使ったらいいんじゃないか」