35階から落ちてきた恋 after story ~you are mine~
「誰がデコピンするって言った。おい、ユウキ、勝手に果菜に触んな」

不機嫌な貴くんの声に、はいはいとユウキさんは私のお腹に回した腕を引き抜くと、
「タカトは果菜ちゃんのこともっと大切に扱わないとね。それじゃ姫は姫のままで王様のお妃さまにはなってもらえないかもよ」
とうっすらとほほ笑みながらスタスタと須川さんのところに行ってしまった。

貴くんは無表情、しかも無言でユウキさんの後ろ姿を見送っている。
ムッとするのかと思ったら、意外に無反応だ。
いつものようにおふざけの小競り合いがあるのかと思ったら何もなかった。

一転して怪しげな笑顔で振り返り、私に近付くと貴くんはいきなりひょいっと私を担ぎ上げた。

ひゃあー
油断した!
に、逃げ遅れた!

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