35階から落ちてきた恋 after story ~you are mine~
「さ、帰るぞ」
「帰るぞじゃないですー。何で私を担ぐんですか。下ろしてー」
貴くんの肩に担がれてジタバタとしてみるけれど、どうにもこうにも長いドレスが邪魔でうまく動けない。
「暴れると落ちるぞっていうか落とすぞ」
えええー、ひどい。
「やだ、落とさないで」
「なら、しっかりしがみつけ」
「下ろすという選択肢は?」
「ない」
ご機嫌な王様の様子に諦めを感じおとなしく担がれて退場となる。
「おー、まるで花嫁を式場から奪っていくみたいだなー」
「私も担がれたい~」
なんて声がスタジオのあちこちから聞こえたけど、これそんなにいいもんじゃないんですよー。
実際、男性の肩に担がれるなんて高くて怖いし揺れるし舌噛みそうだし。
あなたは『王様』で私はあなたの『姫』だって言うのならお姫様抱っこっていう選択肢はなかったのか?と思うけど。
たぶん、うちの王様にはないんだろう。
スタジオから出る直前、スタッフと撮影した写真を確認していたらしい王子様が私たちの姿を見て苦笑しているのがちらっと見えた。