未来を見るなら、君と一緒に
それでも、勘違いはされたくなかった。



「あ、うん。わかった」



潤がそう返事をしても、掴んだ腕は離せずにいた。
潤の腕をつかんでいる指先が熱くなる。

ドクンドクンと、自分の心臓が動いているのがわかる。
隣にいるだけでドキドキしちまう俺が、よくこうしていられてるなと自分で感心するくらいだ。



「潤は、まだ賢晴さんが好き?」



さっきも聞いたのに。
この答えはさっきも潤が口にしていたのに。
どうしてめ確かめたかった。



「え?好きじゃないよ……?」



俺の質問の意図が分からない風で、首を傾げる。



「俺は、賢晴さんの隣で笑ってる潤が好きだったよ」


「え……?」



潤の瞳には困惑の色が浮かぶ。



「賢晴さんとヨリを戻して欲しいとかじゃなくて」


「うん……?」


「ずっと、いつかその笑顔を俺の隣で見せてくれたらいいのにって思ってた」



「……え?」



潤の返事とともに、俺らを取りまく空気が一瞬にして変わった気がする。

< 101 / 176 >

この作品をシェア

pagetop