未来を見るなら、君と一緒に
「潤が卒業して、もう会えないと思ってた」



それなのに、こんなふうに潤はいま俺の部屋にいる。
こんなんで、好きなのをやめれるわけがない。



「うん……」


「でも、今日あえて……でも潤はあんな風に笑わなくなってた」



前、賢晴さんの前ではもちろん、自分の意思なんてなかっように見えたけど、それでも潤はいつだって笑ってた。



「……陽くん」


「潤が前のような笑い方を忘れてしまったなら、俺が取り戻したい」



俺は潤がニコッと笑顔を向けてくれるのを毎日待っていたんだ。

だから、その笑顔を俺がまた出したい。
潤が笑えないなら、俺が笑わせるだけだ。



「……っ」



しばらく黙っていた潤の瞳から流れ落ちる一筋の涙。



「……ありがとう、陽くん」


「絶対に潤を元気にさせてみせるから」



そっと、潤の頬に触れて、涙を拭う。

こんなこと、あの頃の俺にはできないことだっただろう。


期待しておいてくれていい。
いつか訪れる、その時には、俺も自分の気持ちをきちんと口にできるはず。
潤のきもちも俺のほうを向いていてくれたらなと願うばかり。

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