未来を見るなら、君と一緒に
俺が中途半端にしたからいけないんだってことは、わかってる。
でも、だからといって真凛のきもちに応えようとするものではない。



「あたしだってこんなことしてても陽ちゃんを手に入れられないってことくらいわかってる」



真凛に申し訳ない気持ちと、もうこんなことはしてほしくないというきもち。
ふたつのきもちが入り交じって、でも、落ち着いて欲しい一心で真凛の頭をぽんっと撫でると、深い息をついて、落ち着きを取り戻した真凛が目の前にはいた。



「真凛はさ、せっかく可愛いんだし、モテるじゃん」


「モテたい人にだけモテたいもん」


「誰もが必ず想いが通じるわけじゃない。だからといってこんなことしていたら人生もったいないよ」



誰だって、好きな人と想いが通じ合える未来を願ってるにきまってる。
でも、必ずそれが叶うなんてなくて。
むしろ、叶わない人の方が多いのだろう。



「真凛のことちゃんと見てくれる人がいるんじゃないの?」


「……っ」



真凛の言うことを何でも聞いてしまうやつ。
それがダメなことでも。
真凛のためになるならと、何でもしてしまうやつ。

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