未来を見るなら、君と一緒に
「そんな人滅多にいないよ。だから、大事にしなきゃ」


「でも、あたしは陽ちゃんが……」



ポロッと一筋の涙が真凛の頬を流れる。



「俺が中途半端にしたせいでここまで拗らせてしまってごめん」



ポンッと真凛の頭を撫でれば、俺を見上げる。



「陽ちゃん、ごめんなさい……」



俺に深々と頭を下げた。



「もういいよ。でも、もう上手くいかないからってあんなことするな。そして、自分を見てくれるやつを大事にしてやれ」


「うん……」


「羽生(はぶ)によろしくな」


「……なっ!?」



真凛の顔が赤くなる。



「お前ら幼馴染なんだろ。羽生はずっとお前が好きなのは見ててわかる。だから大事にしてやれよ」


「うん……」



本当は真凛も分かっていたはずだ。
心の奥にある思いに。



「真凛、ありがとう」


「……え?」



突然お礼を言い出した俺に目を丸くする。



「俺も前に進めそうだよ」



真凛のことが気がかりではあった。
でも、もう真凛が俺の付き合う子になにかをするとかはないだろう。

だから、もう後ろは振り返らない。

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