未来を見るなら、君と一緒に
『じゃあ、その賢晴って子に連れていかれた可能性が高いってことね……』


「はい……」



賢晴さんが今どこに住んでるかなんてわからない。
大学の頃ならみんなで何度か行ったことがあるからわかるけど。
さすがに社会人になった時に引っ越したはずだ。

そこに行けば、なにか手がかりが掴めるだろうか。

まずは、潤を助け出さないと。
あの時、光を助けたのはヤスだった。
今度は俺が、自分で助けたい。

前の家に行ったしてもなんの意味もないだろう。
でも、考えるよりもまずは行動だ。



「すいません、瑠奈さん。今日バイト休みます!」



そう瑠奈さんに告げて、電話を切る。



「行ってみるか……」



なにも意味がないことなんてないはずだ。
家でじっとしてなんかいられない。
少しでも潤を助けることに繋がるなら、俺は動く。



「たしかあの駅前だったよな」



大学のある俺の実家の最寄り駅。
そこから1駅行ったところに賢晴さんの家があったはずだ。

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