未来を見るなら、君と一緒に
でも、部屋の一角。
テレビの真上の壁にはずらーっと潤の写真が飾られていた。

付き合っていたし、潤のことが好きなんだから写真が貼られているのは不思議じゃない。

でも、これは……。



「全部最近の潤だ」



俺たちが住んでいるマンションのエントランスから出てくる潤。
近くのスーパーに向かう潤。

最近のだってわかるのは、俺が隣にいるから。
賢晴さんはどんな気持ちでこれを撮って、どんな気持ちでこれを飾っているのだろう。

異様なまでの執着に震える思いがした。



「こっちか……?」



こんな写真をみにきたわけではない。
潤のことを助け出しにきたんだ。

ひとつある部屋のドアは閉まってる。
そのドアをゆっくりと開けると、ベッドの上で布団にくるまっている姿が見える。

あの後ろ姿は潤だ。

きっと、賢晴さんが来たと恐れているのだろう。
布団にくるまっている肩が震えている。

こんなふうにさせてしまったのは間違いなく、賢晴さんだ。

潤のこんな姿を見るなんて思わなかった。

俺は思わず、ベッドに駆け寄って、後ろから潤をだきしめた。

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