未来を見るなら、君と一緒に
「潤!賢晴くん!」



「香(かおり)」



ゼミ会が行われるレストランの入口には、大学の頃いつも一緒にいた香がいた。



「香が幹事だったもんね」


「うん!席は名前が書いてるよ。2人は同じテーブルだから」



香が入口のドアを開けてくれる。

中に入るとすでに来ていた人もちらほらいて、その中には椅子に座ってヤスくんと何かを話している陽くんの姿も見えた。



「あ……」



ヤスくんがあたしに気づいて、片手を挙げたのをみて、陽くんもあたしを見る。
そして、隣にいる賢晴にも目がうつる。

勘違いされたくない。
そんな気持ちがでて、なにか言い訳なんてする関係でもないのに、言い訳をしたくて陽くんのテーブルまで歩いていこうと一歩踏み出す。



「潤は今日だけ、俺の彼女だろ?」



そんなあたしの腕を掴んで、行く手を阻む賢晴。



「ちょ……賢晴」



たしかにわかったとは言った。
でも、あたしは陽くんが好きなわけで。
陽くんにはちゃんと言っておきたい。

勘違いなんてされたくないから。

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