未来を見るなら、君と一緒に
「ここでてすぐのAじゃなかったかな?」



その言葉を合図に俺は立ち上がる。

また、潤が傷ついてたらどうしよう。
俺は、賢晴さんをどうにかしてしまうかもしれない。

賢晴さんは少なくとも俺の憧れのはずだった。
あんなふうに敵対視されてても俺にとっては憧れだった。

同じ職業を目指すものとして、学生のころからすごい習得だったし、俺にもたくさんのものを教えてくれた。

いつか、俺もこんなふうになるんだっていう存在だった。

そんな憧れの存在と同じ女の子を好きになって、そしてその女の子が傷ついて。
俺はそれでもやっぱり賢晴さんへの憧れはあった。

だから、いまこうして、賢晴さんに思ってしまってるのは結構ショックだったりする。



「ここだ」



会場を出て、目の前にあるAと書かれた部屋。

戸惑ってる暇はない。
この中で潤が困っているかもしれない。

潤を守るとあの時約束したんだ。

ヤスでもない。
俺が潤を守りたい。



「潤!」



ドアを開けて、彼女の名前を叫ぶと中にいた2人が俺の声に振り向く。

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