未来を見るなら、君と一緒に
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「賢晴」



自分の仕事が休みの日。
あたしは、元の職場の前にいた。
賢晴に会うために。



「潤……」



職場のドアを開けてでてきたところにいたあたしを見て、賢晴の瞳が見開かれる。



「賢晴に会いに来た」


「な、んで……?」



もう会うこともないと思っていたのだろう。
戸惑いの表情を見せる。



「ちゃんとけじめつけとこうと思ってさ。ご飯、行こう」



あのゼミ会から、あたしの家の前に賢晴は現れなくなった。
まぁ、バツが悪いし現れるわけなんてないんだけど。



「お前、俺といて怖くないのかよ」


「本当は賢晴、あんなことしたい人じゃないでしょ?」



わかってるんだ、本当は。
賢晴だってもがき苦しんでるってこと。



「ほら、あそこ入るよ」



あたしは賢晴の腕を掴んで、ふたりでよく飲みにきていた、職場の近くの焼き鳥屋さんへと歩く。

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